全学共通教育の履修にあたって




 新入生の皆さんは,これからの新しい大学生活に期待しつつ,心を引き締めていることと思います。また,2年次の諸君は,これまで1年間の大学生活を振り返り,この1年をどのように過ごそうかと気持ちを新たにしていることでしょう。
 今,新学期にあたり,「何のために大学に来たか」,「なぜ学ぶのか」などを問い,その目的,方向などを定めたり,確認したりすることが大切だと思います。「どのように生きるか」,「自分は何を考え,何をしようとしているか」などの問いは,普段は考えていなくても,いつも自分の思考の底流にある問いではないでしょうか。このような問いを発することやその答を探索することは,自分自身の人間性に幅や深さ,また豊かさを醸成しますので,より良く生きることにつながるでしょう。このことは共通教育の場での学びの大きな目的の1つです。
 全学共通教育の授業では,まとまりのある知識を獲得し,これから必要とされる能力,技能を培うことが主になります。共通教育の授業を受けつつ,教員とまた友人と互いに応答をしあって,上のような問いの答を探索して行って欲しいと思います。また自分自身の学びの中での葛藤や着実な学習の積み重ねからも答が見える可能性があるので,真剣に自分の問いにこだわって,学んで欲しいとエンカレッジする次第です。
 教員もまた同様に教育・研究の中で,一人の人間として自分自身への問いかけをもって生き方を探っていますから,積極的に働きかけ,問いかけをすると,すばらしい応答があると思います。教員の方々は皆さんの積極的なアプローチを待っています。
 全学共通教育では,本年度カリキュラムを改訂して,科目群を「大学での学びの過程」に沿って,「大学入門科目群」,「教養科目群」,「基盤形成科目群」,「基礎科目群」の4つの科目群に分けて,それぞれの科目群での学修の目的を明らかにしています。この『全学共通教育履修の手引』やもう一冊の『全学共通教育授業概要(シラバス)』に記載されているように,学修の目的に応じた多くの授業題目の授業が用意されています。これらの授業は総合科学部の教員を中心に全学の教員の協力によって実施されており,内容は多彩で豊富です。授業の履修上の注意事項などについては,この『履修の手引』を良く読み,また各学部学科の教員の指導を受けてください。その上で,各人の修学の目的にかなった適切な履修選択を行ってください。各授業科目の解説やそれぞれの授業毎の目的,到達目標,授業計画,成績評価方法などについては『全学共通教育授業概要(シラバス)』に詳しく載せていますので,参照してください。
 履修の登録についてはパソコンを利用しインターネットを通じて行います。この点についても十分ガイダンスをしますので誰でも容易にできますが,その準備として履修したい授業の候補を選んでおく必要があります。
 諸君は若さとエネルギーに溢れていますし,多くの可能性を秘めています。全学共通教育の場での学びによって,自らの生き方を定めて,新しい知識と能力を修得して21世紀の社会へ貢献して頂きたいと期待しています。

2005年4月


全学共通教育センター長  佐 野 勝 徳